みなさん、こんにちは!
本日は、役員給与の実務について考えてみたいと思います。
会社で働いていると良くこの論点で出てくると思うんですよね。
特に一人会社の社長とかですと、知らずにこの税務上の論点に引っかかっている場合もあると思いますので留意が必要です。
なお、今回もですが、私は税理士ではございませんので、あくまで自己学習のアウトプットとしてこの記事を書きます(したがって、税務上の信頼性を担保するものではございません)
真剣に考えている場合には、税理士ご相談下さい。
役員給与が税務上重要な理由
皆さんが、もし社長だった場合に、自分の給与って自分で勝手に決められるって思いますか?
この月は、この100万円ほしいな~、来月は50万円でいいや~みたいな感じです。
答えはNOです。
会社法上で、以下のように決まっています。
第361条(取締役の報酬等)
取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
一 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額
二 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法
三 報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容2 (略)
3 (略)
4 第一項第二号又は第三号に掲げる事項を定め、又はこれを改定する議案を株主総会に提出した取締役は、当該株主総会において、当該事項を相当とする理由を説明しなければならない。
(以下略)
なお、定款で当該給与算定方法については、任意的記載事項のため、記載しない企業も多くあると考えれます。
したがって、一般的には株主総会の決定が必要になります(取締役会に個別の支給金額の決定権を委任する場合も、報酬総額の上限の決定は株主総会事項)
ただし、同族会社のように株主が身内だけの場合もあり、その場合には役員の給与金額をほとんど自由に決めることができてしまいます。
したがって、役員給与を自由に決めて、税金の金額を下げようとする租税回避行為がしやすくなるので、法人税上に規定がなされています。
役員給与の分類
実務上は、3分類に分けられています。ここでは、詳細な説明はしません。
1,3項に該当する場合には、損金不算入です。
2項に該当する場合は、不当に高額な部分を除いて全額損金算入です。
ここでいう不当に高額な部分とは、役員としての活動量に比べてお金を多額にもらっている場合などが挙げられます。(名ばかり役員)
今回は実務でもっともよく該当する定期同額給与という点を解説します。
定期同額給与とは
定期同額給与は、一言で言えば、毎月同額の給与!ということです。
ただ、役員の給与をいつまでも一緒!ということはなくて、もちろん改定のタイミングも用意されています。それが、上記の3つのタイミングです。
①がよく使う知識かと思います。
この3ヶ月以内というのが、株主総会の招集のタイミングに合わせられています。
つまり、株主総会で役員給与を承認しますので、そのときに加えられた改定はOK!ということになります。
この①の特徴としては、このタイミングで役員給与を増額しても減額しても、その後毎月同額であれば定期同額給与として認められます。
次に②について解説していきます。
業績悪化による減額したら増やせない?
②の業績悪化事由に該当する場合には、3ヶ月以内で無くても、役員報酬は下げてもその後同額であれば、定期同額給与として認められます。
しかし、業績悪化事由で減額した場合には、増額改定は基本的にはできません。
業績が悪化したけど、会計期間の後半で利益が上がりはじめた、つまり業績が回復したから給与をもとの水準に戻す!ということはできないのです。
基本的に、業績悪化事由はマイナス方向に認めると言うものです。
増額方向に改定を行う場合は、先程の①か③の臨時改定事由に該当する場合しか無いのです。
したがって、業績の回復は臨時改定事由に該当しないので、増額が認められないのです。
臨時改定事由とは
臨時改定事由に該当する場合には、減額した後に増額することも可能になっているケースも実務上あるみたいです。
それが、企業の不祥事等を起こしたです。
不祥事を起こした場合に、一定期間役員報酬を減額するとうケースをニュースでみたことがあると思います。
この場合に、社会的責任を役員の報酬の一部を減額することで負うという点を鑑みて、減額改定及び増額改定のいずれも「臨時改定事由(類するやむを得ない事情)」によるものと整理されているみたいです。
ここでもポイントは、増額改定を行っていないという整理ではなく、臨時改定事由に当たるとしている点です。
つまり、コロナ禍において、役員報酬を減額する実務というのは増えてきていると思いますが、会計期間の後半で回復の兆しがあった場合などに増額するケースがあるかもしれません。
その場合に、損金の算入が認められるケースはあるのでしょうか。
コロナ禍の臨時改定事由は?
キーポイントは、中小企業等などで、役員自ら営業活動や店舗管理で重要な役割を果たしているケースが前提として挙げられると思います。
そして、次の状態により、給与を減額及び増額を行った場合。
①コロナが流行したことにより、営業活動の自粛などにより役員の職務(営業活動や店舗管理)の一部を執行できない状況に合わせて、給与を減額した。
②営業活動が、コロナ流行前と同水準にまで回復。コロナによる制約がなくなり、職務を行うことができるようになったので、給与を以前の状態に増額した。
→これらについても、役員の職務の内容の重大な変更にその他にこられに類するやむを得ない事情として整理することができると思われます。
なお、さきほどは業績悪化改定事由によって給与を減額した場合で、その後給与額を増加した場合でも、今回のケースにより役員の活動の制限が回復したものであれば、増額分は臨時改定事由に該当すると考えられ、損金算入することができると考えられます。
その他留意点
この定期同額給与については、税務署への事前の届け出等は不要です。
しかし、税務調査などで役員給与の決定内容を確認するために、株主総会議事録又は委任をしている場合には取締役会の議事録等の提出を求められることが想定されますので、しっかりと議事録を残しておくべきと言えますね。
まとめ
以上役員給与に関する留意事項でした。
これから、年末にかけてコロナの流行が落ち着いていくことを願っています。
本日はここまで!
本日も最後まで読んでいただきありがとうございます!
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