みなさん、こんにちは。
本日は、税効果会計について、考えてみたいと思います。
会計を勉強している方で一度は耳にしたことがある、税効果会計という単語。
そして、勉強していて思うことがあると思います。
・・・・なんのためにこの処理やるんだろう?という疑問。
勉強をしていて、これでいいのかな?って思う人いるんと思うんですよね。
僕の実体験も含めて、税効果について書いていきたいと思います。
よかったら、最後まで読んでくださいね。
税効果会計とはなんぞや
税効果会計の必要性は、会計上の収益と費用という概念と税務上の益金と損金の計上のタイミングが違うことにより、会計上の税引前当期純利益と法人税等を比率を比較して算出した税負担率が、実際の税率よりも過大になる傾向があります。
なぜ、計上のタイミングが違うのか。
それは会計と税務の目的が違うからです。
会計上は、取引実態を重視して、より利害関係者にとって有益な情報を届けることを目的にしております。また、将来発生することが確実な取引等について、実際に発生するよりも前に処理するなど見積り会計についても認められています。
税務上で重視していることは、全国民から公平に税収を徴収することを意図しています。これを課税の公平と言われています。
また、税務上は債務確定主義を採用しており、見積会計の計上を基本的に認めていません。これは、見積会計によって計上された費用によって損金の金額が増えることによって徴収する税金が大きく減ることになったりします。
このように、確定したものをのみを計上することで公平性を保っているのです。
具体例で考えてみる
上記の表は、損益計算書と法人税申告書(別表4)を図式で表したものになります。
注目していただきたいのは、税負担率です。
今回の具体例では、実効税率を30%と仮定しております。
まず、大前提としては、損益計算書の法人税等の金額は、法人税申告書にて計算されたものが計上されます。
一番右の図、法人税申告書では、法人税が45と計算されます。
その45が、損益計算書の法人税に計上されます。
すると、一番左の図の税効果を適用前の損益計算書の税引前当期純利益と法人税等を比較したときの税負担率が、なんと45%になります。
つまり、実際の税率よりも15%会計上の税率が多くなり、その分繰越利益剰余金に加算される利益の金額が減ってしまいます。
したがって、会計上で税効果会計を適用することで、税引前当期純利益と法人税等の負担割合を実際の税率に近づけるというのが、税効果会計の目的になります。
(上記例示は、30%で完全一致しますが、実際は永久差異が含まれるため、差額は発生します(これを税率差異と言います))
今回の例示で差額が発生している要因は、商品評価損が会計上は費用計上されているが、税務上は費用計上が否認されて課税所得にプラスされています。
これは、税務上では、実際に商品を廃棄した際に税務上は損金として認められますので、まだ廃棄されていないため会計上計上した商品評価損(50)を加算しています。
このことにより、課税所得が、150となり、純利益と比較して50増加します。
税効果会計は、この商品評価損50に対して、実行税率をかけることで、繰延税金資産及び法人税等調整額(画像の黄色枠の仕訳)を計上することになるんです。
また、この会計上と税務上の差額となってしまった商品評価損を一時差異と言ったりします。
この会計上計上された費用のうち一時差異に該当するものを集計して、
計算することが税効果会計になります。
一時差異になるものとそうでないもの
さきほど、触れた、一時差異に該当するものは以上のとおりです。
一言で言えば、法人税申告書で留保処理されたものが一時差異となります。
(※ここでは繰延税金資産の回収可能性の話は考慮をしていません)
また永久差異と呼ばれるものについては、税務上で損金算入が認められていないものになります。例えば交際費の損金不算入額だったりします。
法人税申告書では社外流出処理がなされます。
・・・・意味がわからないという人もいると思います。
最後にまとめますが、僕も会計士受験生時代はそうでしたし、監査法人時代もよくわかっていなかったかもしれません。
これを理解するには、一番早いのは、法人税の申告書を作成することで一番理解ができます。
この税効果会計を完全に理解するには、法人税の処理まで抑える必要があるため、
かなり難解な論点と言えます。このあたりの対策についてこの記事の最後にまとめます。
税効果会計上は、一時差異等になります。なぜか?
税効果会計の基準を読んだりすると、一時差異等になっています。
さきほど、紹介した一時差異の他にも税務上将来税金に変動があるものがあるからです。
それが、税務上の繰越欠損金と繰越外国税額控除の額になります。
これらについても、一時差異と同様に税効果会計の計算の対象となります。
また、ここで新しく将来減算一時差異と将来加算一時差異という言葉が出てきました。
これらを解説したのが、上記図の青い枠になります。
将来減算一時差異については、以下のような処理がされることになります。
商品評価損:50発生
☓1年
会計上:50費用計上
税務上:50損金否認(損金計上されない)
☓2年
会計上:特段処理なし
税務上:☓1年で否認したものを、税務上の規定を満たしたので50損金計上
つまり、現時点では損金として計上が認められないので、会計上の費用計上時点では課税所得が増加しているけど、将来的には税金が減るというのが、将来減算一時差異になります。
【将来減算一時差異の例】
貸倒引当金の損金算入限度超過額
賞与引当金・退職給付引当金
棚卸資産評価損固定資産の減価償却費の損金算入限度超過額、減損損失
投資有価証券・関係会社株式評価損の有税分
その他有価証券評価差額金(差損)
したがって、将来加算一時差異は減算一時差異の全く逆の内容となります。
【将来加算一時差異の例】
その他有価証券評価差額金(差益)
圧縮記帳による圧縮記帳積立金
租税特別措置法上の特別償却準備金
また、将来減算一時差異に対して税効果会計を適用したときに、
なぜ繰延税金資産という勘定科目を使うのか。それは、ある種の税金の前払と言えるからです。したがって、将来便益を享受することができることから資産性があると言えますので、資産という科目を使うのです。
ここまで説明したけれども、、、、
一番重要なのは、試験勉強や実務での理解度はどのくらいあればいいの?ということです。
僕の実体験を書きます。
・簿記検定、会計士試験中の理解度
→とりあえず、税効果の対象と呼ばれている費用科目に対してなぜこの処理をする必要があるのか、全然理解していない状態でひたすらタスキがけ計算をしていました。
(*タスキがけ計算は、どの参考書にも載っていると思いますので、ここでは説明を割愛します)
・・・そうなんです。僕の個人的な意見ですが、試験勉強において税効果の意味などはほとんど理解しなくても受かると思ってます。理論を読んで、、、、うーんってなっている人は捨ててもいいと思います。
それよりも、テキストや問題集で出てきた一時差異の費用科目をしっかりと覚えて実効税率をかけるという練習をひたすら繰り返した方がいいと思います。
*丁寧な試験問題になると、これは一時差異になりますと書いてある問題もあると思います。
税効果についても以前は基準がありませんでしたが、最近基準も整備されたので、論文式で配られる基準集の中にも収録されているはずですので、一言一句定義を覚える必要性は少なくなったとおもっています。
・実務家の方々
実務家の方々は、とにかく法人税の申告書を作ってみてください。
試験勉強と違ってどれが一時差異になるかは法人税の申告書を見なければわかりません。
また、次回以降書いていこうと思いますが、税効果会計でもうひとつ論点があります。それは、回収可能性の検討というものがあります。
今回は一時差異について無条件に計上ができるものとして紹介していますが、実務上ではすべての一時差異について繰延税金資産として計上はできないケースもあります。
税効果会計で一番複雑な論点がこの回収可能性の検討になります。
試験勉強上は、特段難しくない論点かと思いますが、実務上は判断を多く伴う論点なので、難しい論点と言えます。
まとめ
長々と書いてしまいましが、本日は以上になります。
また、今回の文章は一部私の私見も入っている箇所もあるかと思いますが、ご容赦ください。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございます!
はてなブロガーの方は読者登録とスター評価お願いします!
Twitterご利用の方は、フォローといいね!お願いします!