みなさん、こんにちは!
fishamanです。
本日は、第3回目の収益認識に関する会計基準の解説になります!
前回までのは以下の記事になります。
読んで無い方は、こちらも合わせて読んでくださいね!
よかったら、最後まで読んで下さいね!
収益認識に関する会計基準で新しく加わる科目
収益認識に関する会計基準で新しく加わる勘定科目です。
・契約資産
・契約負債
・返済負債
これらは、実務だけではなく、間違いなく簿記検定試験、会計士試験、税理士試験等でも間違いなく問われる論点かと思います。
おそらく、変更になって初めての試験では出しやすいでしょうね。
実務的には、負担になるケースもあるかと思いますが、検定試験等に関しては知ってれば解ける問題になると思いますので、是非押さえていただけるといいと思います。
今回は、基準に定義と設例から解説をしていきたいと思います。
各勘定科目の定義について
契約資産
「契約資産」とは、企業が顧客に移転した財又はサービスと交換に受け取る対価に対する企業の権利(ただし、顧客との契約から生じた債権を除く。)をいう。(基準10項)
・・・・この定義を見てわかる人いる?って思うよね。
ポイントは、顧客との契約から生じた債権を除くとなっている点です。
じゃあ、この顧客との契約から債権ってなんぞやということですよね。
「顧客との契約から生じた債権」とは、企業が顧客に移転した財又はサービスと交換に受け取る対価に対する企業の権利のうち無条件のもの(すなわち、対価に対する法的な請求権)をいう。(基準12項)
ポイントは、無条件のものということです。
つまり、契約資産は、対価を受け取るには、条件付きの債権ということです。
新しい収益認識基準で大事なのが、契約と履行義務という考え方です。
1契約単位の中で、履行義務が2つある場合があります。
例えば、A商品とB商品を2つ販売する契約が一つの契約書となっている場合。
A商品を先に渡して、B商品を引き渡した際に代金が支払いが行われますが、
それぞれの履行義務は、それぞれの商品が販売されたときですが、A商品については販売時点では、対価は成立していません。
つまり、追加の履行(=B商品の販売)が行われた際に代金がもらえます。
この追加の履行義務が支払の条件となっている債権であるため、契約資産となります。
そして、B商品を販売した際に、営業債権(売掛金)に振替が行われます。
のちほど設例で紹介します。
契約負債
「契約負債」とは、財又はサービスを顧客に移転する企業の義務に対して、企業が顧客から対価を受け取ったもの又は対価を受け取る期限が到来しているものをいう。
この文章を読んで一言思ったことがあります。
売上などを計上する前に対価を受け取ったものは、もはや前受金ですね。
又は以降の対価を受け取る期限が到来している場合ものも契約負債と認識している点です。
したがって、今後は前受金の表記は契約負債に変わると思われます。
受け取る期限が到来しているものは、おそらく契約資産と契約負債が両建てするのではないかと思われます。(売上計上時に、借方契約負債と貸方売上となるでしょう)
返金負債
顧客から受け取った又は受け取る対価の一部あるいは全部を顧客に返金すると見込む場合、受け取った又は受け取る対価の額のうち、企業が権利を得ると見込まない額について、返金負債を認識する。返金負債の額は、各決算日に見直す(基準53項)
これは、変動対価という論点がこの収益認識に関する会計基準ができて加わる概念です。
変動対価
顧客と約束した対価のうち変動する可能性のある部分を「変動対価」という。契約において、顧客と約束した対価に変動対価が含まれる場合、財又はサービスの顧客への移転と交換に企業が権利を得ることとなる対価の額を見積る
わかりやすいのは、仕入リベートなどではないでしょうか。
仕入リベートとは、自社の製品をたくさん買ってもらった人に仕入高のうち数%を後日バックしてあげるというものです。
現状の会計処理としては、当該リベートの支払金額を販管費などの費用としている企業がおおいのではないでしょうか。
つまり、売上を計上して、リベート代金を費用として計上している状態。
しかし、この新しい会計基準ではお客さんにバックしているのだから、実質売上ではないよね?ということで、将来見込まれる返金部分は売上計上時点で見積もってその金額分は売上を計上するのではなく、負債として計上しようというものです。
その際の負債科目が、返金負債という科目になります。
なぜ、契約負債ではないかというと、顧客からはお金をもらっていることは同じですが、将来に財又はサービスを顧客に提供するようなものではなく、むしろ顧客に対してお金を返金するものであるから、返金負債という勘定科目を使います。
次は、契約資産と返金負債について設例で考えてみます。
設例で考えてみる
なお、以下の設例は、収益認識に関する会計基準の適用指針の設例から出典しております。
〈設例27 履行により契約資産が認識される場合〉
前提条件(1)
A 社がB 社(顧客)に製品X 及び製品Y を合わせて1,000 千円で販売する契約を締結した。当該契約では、まず製品X を引渡し、製品X の引渡しに対する支払は製品Y の引渡しを条件とすると定められている。すなわち、1,000 千円の対価は、A 社が製品X と製品Y の両方をB 社に移転した後にはじめて支払われる。したがって、A 社は、製品Xと製品Y の両方が顧客に移転されるまで、対価に対する無条件の権利(顧客との契約から生じた債権)を有さない(会計基準第79 項)。
前提条件(2)
A 社は、製品X と製品Y を移転する約束のそれぞれを履行義務として識別し、両者の独立販売価格に基づいて、製品X を移転する履行義務に400 千円、製品Y を移転する履行義務に600 千円を配分する。A 社は、製品に対する支配がB 社に移転する時に、それぞれの履行義務について収益を認識する。
会計処理
(1)製品Xの移転時
(2)製品Yの移転時
この設例が一番、契約資産の使い方としてわかりやすいかと思います。
契約は合計で1,000千円なのですが、対価が支払がされるのは、製品Xと製品Yの両方が移転した場合になります。したがって、製品Xのみの移転の場合には売上は計上されますが、債権は契約資産になります。
そして、Yが移転されたときに、契約資産が売掛金(営業債権)に振り替わっています。
簿記検定の試験的にはこの勘定科目の使い方がキーになりそうですが、実務的には債権管理が大変そうですね。どこまでが売掛金でどこまでが契約資産なのか。。。
影響が特にありそうなのが、受注生産などを行っている会社ですね。
中間検収のポイントなどでは、まだ契約資産ですべての売上が計上された際に売掛金になるんですかね。
契約単位での管理になると思いますので、なんともめんどくさい気がします。
〈設例28 履行により顧客との契約から生じた債権が認識される場合〉
前提条件
(1) A 社は、製品をB 社(顧客)に1 個当たり150 千円で販売する契約をB 社と締結する。
契約上、B 社が一定の期間内に30 個超の製品を購入する場合には、単価を1 個当たり125 千円に遡及的に減額することが定められている。
(2) 製品に対する支配がB 社に移転する時に、B 社に支払義務が発生する。したがって、A 社は、遡及的な減額が適用される前まで(すなわち、31 個の購入前まで)は、1 個当たり150 千円の対価に対する無条件の権利(すなわち、顧客との契約から生じた債権)を有している。
(3) 取引価格を算定する際に、A 社は、契約における取引開始日にB 社が一定の期間内に30 個超の製品を購入するであろうと見込み、したがって、取引価格は1 個当たり125 千円であると見積る。
会計処理
製品6個の移転時
ポイントは3つあります。
①B社(顧客)からもらえるお金はいくらなのか?
②いくら将来的にリベートとして返金するお金があるのか?
③①-②をした金額を売上計上しようということです?
数式の当てはめ↓↓
①:150千円×6個
②:150千円ー125千円=25千円が1個あたりのリベートの金額
③:900千円-150千円(25千円×6個)=750円
この処理は検定試験の問題では作りやすそうですが、実務的にはめちゃめちゃハードな気がする。。。。リベートなどはわかりやすいですが、返品とかはカオスだろうな。
てか、見積もりの精度いかんによっては、大分売上金額ずれるだろうな。
一応、期末時点で見積もりの変更は行うみたいですが、それだけで経理部は手間が増えますね。
まとめ
みなさまいかがでしたでしょうか。
文章量としては多くなってしまいましたが、検定試験的にはそこまで難しくなさそうですよね?
個人的には、収益認識周りの会計理論の問題はかなり問われやすくなったと思います。
結論の背景まで読めばバッチリ書いてありますからね!(学習範囲が明確化されたと思えばいいかと思います)
一方実務的にはめちゃめちゃハードそうですけど。
経理部もそうですけど、監査法人もやばそうですね。
そんな波乱を予感させる会計基準だなと勉強すればするほど思いました。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございます!
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