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【第2回】収益認識に関する会計基準【5ステップアプローチ】

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皆さんこんにちは!fishmanです。

本日は、収益認識に関する会計基準についての解説の第2回目になります。

 

1回目は以下の記事です。

↓↓

fishman0306.hatenablog.com

 

今回は、収益認識に関する会計基準で大きな特徴である、収益認識の5ステップの基本原則をまとめていきます。

よかったら、最後まで読んでくださいね。

 

 

 

 

収益認識の5ステップアプローチについて

収益認識に関する会計基準が新しく新設されて何が大きく変わりますか?と聞かれたら、今まではなかった収益認識をするまでに明確なフローチャートが定められたということです。

 

このステップアプローチにより、収益を計上するタイミングや金額に大きな変化が生じることになります。

なお、この記事の目的はざっくり理解することを主目的にしています。

よくある、細かい基準の解説等はしません!(興味がある人は、基準を直接読みましょう(´ . .̫ . `))

 また、言葉の使い方も個人的なものもありますので、ご留意ください。

 

それでは見ていきましょう!

 

 

 

5ステップアプローチのひとこと解説

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  • ①顧客との契約の識別

これは、売上を計上する単位は契約ごと!ということです。

だだし、基準にも書いてあるのですが、契約は契約書という形でなくても、口頭でもOKです。

また、新しい論点として、契約の結合という論点もあります。

今までは、同じ案件内で複数に契約書を結んだ場合でも契約書一つ一つで売上を上げていたけど、今後も同じ案件であれば、契約単位を結合して、1つの単位として売上を計上していきましょうということです。

 

  • ②契約における履行義務の識別

さて、出てきました。履行義務という謎な単語。会計基準はこうゆう複雑な言葉が多いので分かりづらいんですよね。

一応基準で解説されている定義は以下になります。

「履行義務」とは、顧客との契約において、次の(1)又は(2)のいずれかを顧客に移転する約束をいう。

(1) 別個の財又はサービス(あるいは別個の財又はサービスの束)
(2) 一連の別個の財又はサービス(特性が実質的に同じであり、顧客への移転のパターンが同じである複数の財又はサービス)

(基準7より)

履行義務とは、売上を上げるトリガー(タイミング)と認識して貰えればいいです。

 

商品売買で考えれば、商品が相手に到着したタイミングで売上を計上します。

コンサルティング業務で言えば、報告書を提出して先方が受領した瞬間に売上を計上します。

 

このステップでは、契約上でいつ売上を認識するのかな?ということを理解しようというステップになります。

 

  •  ③取引価格の算定

このステップを見たときに、僕はこう思いました。

え、契約書に書いてある金額を売上計上すべき金額じゃないの?って。

 

ここが、ややこしいところで契約書の金額ではない場合もあるんですよ。

一言で言えば、契約書の金額に変動性(つまり動く可能性がある)がある場合には、見積もりを行って現時点で確実性が高い金額をもって計上しよう!ということです。

ここで、覚えておいた方が良い論点として変動対価というものがあります。

リベート、値引きなどが、売上認識時点において想定される場合には、控除しようということになります。

次回以降の記事で解説したいと思います。

 

また、新しい収益認識基準では、税込価格による売上計上は認められないということです。

 

  • ④取引価格の契約における履行義務への配分

このステップでは、1つの契約から複数の売上計上のトリガーポイント(履行義務)がある場合に、それぞれのポイントを売上を配分することになります。

 

なお、この取引価格の配分方法としては、複数の履行義務の独立販売価格の比率に基づき配分しましょうとなっています。

 

独立販売価格とは、基準では以下のように定められてます。

「独立販売価格」とは、財又はサービスを独立して企業が顧客に販売する場合の価格をいう。(基準9項) 

たとえば、セット割などで契約書が作られている場合に一つの論点となります。

 

例)

契約の中に、①商品の代金と②保守契約があった場合に、同時に申し込みことで保守契約が、100千円から50千円に割引になった場合。

なお、①の代金は、1,000千円です。

 

契約合計としては、1,050千円です。これを①と②に配分するのですが、

独立販売価格の比率に基づいて配分しますので、1,000千円と100千円の比で配分します。

つまり、独立販売価格は、その商品を単独で販売したときの価格になる点がポイントです。

独立販売価格がわからない場合には、基準上で定められた計算方法で見積もることになります。

  • ⑤履行義務の充足時における収益の認識

これは、一言でいうと売上を一時点で認識するのか、一定の期間にて認識するかということです。

なお、基準では一定の期間に認識する要件を定めていますので、気になる方はチェックしてください。

僕個人的な感想ですが、一定の期間で売上を計上しなければならない要件が以前まではなかったので、悩まなくて良くなるのがうれしいですね。

 

 

 

適用指針の設例をみてみよう

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【解説】

ステップ1:顧客との契約を識別する。


ステップ2:商品X の販売と保守サービスの提供を履行義務として識別し、それぞれ
を収益認識の単位とする。


ステップ3:商品X の販売及び保守サービスの提供に対する取引価格を12,000 千円
と算定する。


ステップ4:商品X 及び保守サービスの独立販売価格に基づき、取引価格12,000 千円
を各履行義務に配分し、商品X の取引価格は10,000 千円、保守サービスの取引価格は2,000 千円とする。


ステップ5:履行義務の性質に基づき、商品X の販売は一時点で履行義務を充足する
と判断し、商品X の引渡時に収益を認識する。また、保守サービスの提供は一定の期間にわたり履行義務を充足すると判断し、当期及び翌期の2 年間にわたり収益を認識する。

 

以上の結果から、当期1年間に認識する収益の金額は以下の通り

・商品Xの販売 10,000千円

・保守サービスの提供 1,000千円(=2,000千円×1/2)

合計:11,000千円

 

フローチャートに落とし込むと、、、、

 

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*見づらくてすみません。。。

 

 

 

まとめ

今までは、実現主義という言葉だけで売上を計上していましたが、この収益認識の基準が導入されたことで、細かいフローチャートに当てはめて考えることになります。

変動対価などの論点に加えて、新しい勘定科目も追加されていますので、次回以降で解説していきます。

 

↓↓第3回目はこちらから!

 

fishman0306.hatenablog.com

 

本日は以上です!

 

 

 

本日も最後まで読んでいただきありがとうございます!

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