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装置産業はコロナで厳しいなあと思う理由【雑記】

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こんにちは!fishmanです。

4/28にANAの決算が発表されましたね。

コロナの影響的には4Qだけだと思いますが、かなり下がってましたね。

固定資産持っている業界は特に厳しいなあと思って、この記事を書こうと思いました。

 よかったら、最後まで読んでくださいね。

 

 

装置産業とはなんだろう

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装置産業とは、もともとは、機械などを使って製造を行う製造業などを指すことが多いですが、今回は固定資産を使ってお金を稼ぐ産業として紹介したいと思います。

つまり、固定資産が無いと成り立たない産業ということです。

例えば、航空事業は、飛行機がないと成り立たないですよね?鉄道事業も鉄道がないと成り立たないですよね?

今回のANAですが、連結財務諸表上に計上されている航空機の帳簿価格の金額は知っていますでしょうか?

 

1,157,585百万円です。

・・・・分かりづらいので、単位を変えます。

 

1.1兆円です。

*(以下の金額はすべて2020年3月期です)

 

ちなみに総資産は、2.5兆円です。

総資産のうち、44%を航空機が占めています。

すごいですよね。

この航空機が、ANAの事業の根幹なんですよね。

航空機が稼働することで、売上が生まれるわけです。

 

 

 

 

装置産業でのKPIは?

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装置産業で、僕が考えるKPI(重要な管理指標)は、稼働率だと思います。

つまり、固定資産がどれくらい動いて、お金を稼ぎ出しているか。

ホテルとかだとわかりやすいと思いますが、部屋がどれだけ埋まっているか?が稼働率

ですよね。IRとかで開示している企業もあります。

 

この稼働率が落ちてくると、お金が稼げなくなります。

すると、お金が稼げなくなると会計上は減損処理という損失計上をします。

減損処理の金額は、貸借対照表上の固定資産の簿価を基準に考えられます。

最悪のケースは、簿価の大半の金額が減損の対象となり得ることもあります。

 

売上が減少しているにもかかわらず、費用が多額に計上されるので赤字幅が大きく広がります。

コロナの影響で、装置産業の場合には、売上の減少とともに資産の稼働率の低下も加わってきますので、ダブルパンチ状態と言えます。

 

固定資産には減価償却費がついてまわる。

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減損の話もしましたが、そんな固定資産を持っていると毎期計上される費用があります。

それが、減価償却費です。

過去に減価償却費の記事も書きましたので、よかったら読んでみてください。

fishman0306.hatenablog.com

 

さきほどのANAの固定資産の帳簿価格の話をしましたが、減価償却費の金額はいくら計上されているか知っていますか?

 

年間276億円です。

販管費の合計が約3,300億円ですので、約8%もあります。

 

有価証券報告書を見ると、

定額法で9~20年で償却しているみたいです。

最低でも9年間は同じような金額規模の費用が計上されることになります。

 

この減価償却費のコストってカットできないのか?と思うじゃないですか。

基本的にコストカットの方法はないです。

売却や除却をしても金額によっては、損失も一気にでてしまいます。

 

その他のコストは管理することによって削減はできますが、固定資産を保有している限り、耐用年数分の減価償却だけは計上を逃れることはできません。

 

JRとか鉄道インフラ系も、4月の緊急事態宣言以降は、厳しいと思います。

学生の定期代、会社員の定期代も大幅に減少したと思います。

利用者数も大きく減っていますからね。

コスト削減しても、費用計上金額が大きい、減価償却費が残ってしまいますからね。

 

この減価償却費分の売上を、固定資産を使って回収しないといけないわけです。

 

まとめ

今回は、装置産業について書きましたが、コロナの影響でどんな業種、業態の会社でも大変だと思います。

ただ、会計を考える上で、財務諸表上何がこの会社の負担になっているのか?を考えることも重要なポイントのように思います。

好調なときほど、売上と最終利益にしか目がいかないと思います。

業種特有の費用バランスなどもありますから、そうゆう観点から今後財務諸表なども見られていくともっと会計のことがおもしろいなと思えるかもしれませんね。

 

今回はここまでです!最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

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