こんにちは!fishmanです。
今回は、ジャパンディスプレイの不正会計について2020年4月に第三者委員会報告書の調査報告書が公表されました。
とりあえず読んだ感想と内容をお伝えしたいと思います。
読む前に、言い訳させてください(笑)。
・完全な私見なので、気にしないでください。あくまで感想です。
・当事者でもないので、的はずれなこと言ってるかもしれないです。
よし、それではいってみよう!
JDIってどんな会社
JDIは、日の丸液晶だ!ということで、官民ファンドの㈱産業革新支援機構の主導により設立された液晶を作る会社です。なお、2014年4月に東証一部に上場しています。
近年は、財政難で支援をいろんなところから支援を受けています。2020年1月には、大型の金融支援が決定しています。
なお、その前に元経理・管理統括部長が横領と、不正会計を行ったことが、2019年11月に発覚しました。(おいおい)
不正発覚までのフロー
2018年12月に横領の罪で、元経理・管理統括部長(A氏)が懲戒解雇されています。
そして、19年8月に刑事告訴されています。
しかし、それと同時に、不適切な会計処理をしていたとJDIに通知したことで発覚しました。ただ、残念なことにこの元経理・管理統括部長さんは亡くなられてます(自殺?)
ドロドロな状況ですよね。
不正は何故起こる?
監査論的なお話ですね。不正は3つのもの(機会、動機、正当化)が揃うと行われることが多いと言われています
ちなみに、第三者調査員会の調査報告書にも発生原因の分析の際に、この3つの観点から記述がおこなわれています。以下抜粋します。
機会の存在
(1)機会の存在
ア:A氏が長期にわたって経理部門のトップとして会社の経理実務を取り仕切っていたことから、A氏に経理部門の権限が集中し、上位者からの具体的な指示なしに会社の制度会計上の経理数値を操作することが可能な状況であった。
イ:JDIのA氏の上位者であるCEO及びCFOは、いずれも外部から招聘・採用された者であり、A氏と同様に、旧個社3社出身という背景がなく、また、いずれも経理実務・制度会計実務に精通していなかったため、A氏に対して 上位者による牽制が十分働かなかった。
ウ:A氏の在職中は本社の経理部門に対して原則として内部監査が実施されなかったこと等、JDIのガバナンス機能は脆弱であり、A氏の行動に対する監視監督機能が不十分であった。また、経理部門内部における相互牽制機能も存在しなかった。 出典:調査委員会報告書より抜粋
→要約すると、内部統制の機能が不十分だったということです。
内部統制はわかりやすい言葉でいうと、社内ルールです。
会社で働いていると、有給を取るときに上長の承認が必要ですとかありますよね?それも内部統制です。
その機能が弱く、A氏が自由にできる環境(=不正の機会が満載)だったんです。(じゃないと横領5.7億円できないです)
ただ衝撃なのが、経理部門に対して原則内部監査が実施されなかったという事実。
監査法人は、内部統制監査ってどうやってたんだろう。不思議?
正当化要因の存在
(2)正当化要因の存在
ア:A氏の主観的な事情については、本人が死亡したため、直接確認することはできなかったが、規範意識の鈍麻や様々なプレッシャーと相俟って、自分の力で会社の数字をよく見せることで会社やCFOを守る、という歪んだ正義感を抱き、不適切会計処理が正当化されたものと考えられる。
イ:何とか営業利益を良くしたい、というA氏を含めた会社全体の思いと、A氏と前職においても上司・部下の関係であり、個人的にも親密な関係であった当時のCFOによる複数回にわたる不適切会計処理の指示ないし了承、それを受けたA氏による営業利益水増しの実現などの一連の行動を通じて、A氏の規範意識が鈍麻し、不適切会計処理が正当化されていったと考えられる。出典:調査委員会報告書より抜粋
この分析が一番わからないです。。。
このA氏は横領してるんだぜ?歪んだ正義感はないでしょ。。笑
ただ、横領の事実を隠すために、やっていたのかもしれないですね。
不正という概念はもはや欠如していたように思われます。
ちなみに、正当化は簡単に言うと、
「不正をやっても俺は問題ない。だって会社のためにやってるんだよ?」という自己正当化というやつです。
動機の存在
(3)動機の存在
ア:INCJは、JDIの筆頭株主として、その発足後の一定期間において、財務面・人事面でのJDIの実質的な意思決定権限を有していた。JDIの事業計画の策定において、INCJは、必ずしも実現が容易とは言い難い目標値(特に営業利益について)を掲げ、JDIの経営陣・幹部らに対して、その達成を求めた。そのため、JDIの経営陣・幹部には、会社の業績を良くしたい、何とかしてINCJが求める 目標値を達成したいという欲求があったことが窺われる。
イ:2015年6月に新たに就任したCEOは、四半期ごとに業績予想値として公表した営業利益の数値を達成するよう、関係各部署に対して厳しく要求しており、このような当該CEOからのプレッシャーも、A氏による不適切会計の動機になったと考えられる。 出典:調査委員会報告書より抜粋
これは、会計士受験生なら絶対に学習してますよね。
過度な予算などを立てる場合には、不正へのプレッシャーがあると言われてます。
予算達成になんとかしよう、なんとかしよう、チャレンジしよう。。。。
そのように、泥沼にハマっていくんです。。。
今回の発生は、不正の教科書みたいな話ですね。
内部統制の欠如と過度な目標の設定。
会計士試験では、不正については絶対短答式、論文式ででる!って専門学校では言われそうですね。
不正の内容は?
出典:第三者委員会の調査報告書から抜粋+筆者の想定で記載
調査報告書を読むと、11個の不適切な会計があったみたいです。
主な内容が、利益操作(期間をずらす)と処理逃れ(減損など)です。
個人的に一番驚いたのは①ですね。
上場した瞬間に架空の在庫100億円計上からの②の在庫の評価損の計上逃れ。
評価損よく逃げ切ってたなー。架空のものだから、評価もできないでしょ。
あと、仕掛品を使った計上なので、棚卸監査などで分かりづらいので架空計上は有り得そう。
仕掛品は作成途中の在庫であり、実物が完成していないものがあるためです。
通常の完成品の在庫であれば、単価×個数で在庫の金額がわかるんですが、仕掛品はそれがわかりません。
最後は、減損回避ですよね。
会計基準上は、遊休で稼働が見込まれない場合には、資産を一部費用処理化しないといけません。
監査法人に再稼働があるように説明ってどうやったんだろう。不思議。
営業利益の推移
グラフが、非常に小さくなってしまって申し訳ないです(笑)
JDIが発表した利益の影響額のサマリーから図を作成してみました。
青が、訂正前の営業利益、赤が、訂正後の営業利益です。
このグラフで注目すべきは、訂正をした後の営業利益が回復している時期があることです。特に2018年3月期第1四半期以降です。
詳細はわからないですが、要因は100億円規模の仕掛品を2018年3月1Qから仕掛品から費用に取り崩していったため、それを修正したことが要因かと思います。
何が言いたいかというと、悪いことをしても後でツケが回ってくるということです。
不正をしてもいいことないですよね。
不正が起こると監査法人は大変
この金額はわかりますか?考えてみてください。
・・・・・・
そう。
あずさ監査法人とKPMGグループが2019年3月期の監査で受け取っていた報酬金額です。(監査と非監査業務の報酬合計です)
億超えのクライアントってかなり大きい部類に入ると思います。そんな法人に対して、不正はダメ!といえるのか?という批判が世間からめちゃめちゃ出てきます。
東芝の時もめちゃめちゃでてましたね。
監査業界全体もやること増えそうですね。。。
テレワーク×業務負担増=監査が終わらない?
ってことになりそうですね。。。お疲れさまです。
まとめ
不正会計の記事がでると、職業柄読んでしまいます。
この記事で言いたいことはかなりありますが、抑えました。笑
不正をしても誰も救われないっすよね。
久々に、真面目な記事を書いたので疲れました。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます!
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